塩害仕様エアコンとは?普通のエアコンとの違いや特徴を解説

塩害仕様エアコンとは?普通のエアコンとの違いや特徴を解説

海沿いの地域では潮風の影響により、建物や機械類などにサビ・腐食が発生しやすくなります。これを「塩害」といい、エアコンが影響を受けて故障する可能性があります。 この記事では、エアコンの塩害について解説し、塩害仕様のエアコンや塩害を防ぐための置き場などについても紹介します。

エアコンの塩害とは?

塩害とは、海水や潮風によって建物や機械、農作物に被害が及ぶことをいいます。おもに沿岸部や臨海地区といった海沿いの地域で発生することが多く、塩分を含んだ風が吹き付けたり、海水が土壌・河川に侵入したりすることが原因です。
エアコンも実は、塩害を受ける可能性があります。エアコンの室外機は屋外に設置しているため、潮風にさらされやすい状況です。塩害により故障したり寿命を早めたりする恐れがあるため、注意して対策をする必要があります。

塩害による主な被害

塩害により、エアコンにどのような被害が出るのでしょうか。主な被害は、以下の3つです。

機器本体やフィンの腐食

室外機本体の表面や、裏面にあるフィンが腐食してしまうのが主な影響です。パーツの腐食により伝熱性能の低下につながり、電気代を増加させるだけでなく、エアコンに無理な負荷をかけてしまいます。過酷な状況で運転を続けるとコンプレッサーが焼き付いたり、熱交換器の配管から冷媒ガスが抜けたりなど、さまざまな部品に影響を与えます。
このような異常や故障が起きると冷房も暖房も効かなくなる可能性や、エラーにより異常停止する恐れもあります。また、修理代も高額となってしまいます。

絶縁部分の導電化

潮風や海水は、室外機の外側だけでなく内部にまで侵入します。基盤や電気系統などに塩分が付着して、絶縁部分が腐食する可能性があります。絶縁部分が腐食すると、導電を起こし故障の原因となります。

漏電による故障

漏電は、電気回路を外れて電気が流れでてしまうことです。パーツの劣化や水や虫などが混入することなどが主な原因ですが、塩害による漏電もあります。漏電するとエアコンの異常だけでなく、ブレーカーが落ちるケースもあるほか、放置することで感電や火災などの危険性もあります。

日本における塩害の影響地域

海から数km離れた地域でも、塩害により室外機がボロボロになることがあります。日本において、塩害の影響を受けやすい地域の目安は以下のとおりです。

地域 海岸からの距離
北海道の太平洋側 2km以内
北海道・東北の日本海側 7km以内
東北の太平洋側 2km以内
北陸・関東・東海・近畿・中国・四国・九州 2km以内
瀬戸内海 1km以内
沖縄・離島 1km以内

耐塩害仕様エアコンの種類

耐塩害仕様のエアコンとは、サビや腐食に強い加工が施されたエアコンです。海沿いの地域では「耐塩害」仕様のエアコンを設置することで、早期の故障や異常を防ぐことが可能です。
耐塩害仕様のエアコンといっても、専用のものが製造されているわけではなく、室外機の内外装やパーツ、基盤に耐食加工を施したものが耐塩害仕様のエアコンです。たとえば、「外装や内装のパーツに、サビに強いものを使用する」、「シリコンコーティングを施し、絶縁劣化を防ぐ」などの加工が施されています。
既製のエアコン室外機を分解して耐食加工を施してから再度組み立てるため、さまざまなエアコンに対応しています。基本的には受注生産となり、納品までには1か月〜3か月ほどかかるのが一般的です。一部のメーカーでは、室外機の外装にのみ標準で耐塩害加工が施されたモデルも販売されています。
また、耐塩害仕様のエアコンは海からの距離に応じて2つの仕様があります。

耐塩害・耐重塩害の基準は、日本冷凍空調工業会の「標準規格JRA9002」に基づいたものです。設置場所や選定の目安などは、以下のとおりです。

一般的な耐塩害仕様

一般的な耐塩害仕様は、潮風を受けやすい地域に適している仕様です。

【耐塩害仕様のエアコンを選定する目安】

耐重塩害仕様

耐重塩害仕様は、強い潮風を受ける地域に適している仕様です。ただし、塩分を含んだ水が直接かからない場所に限ります。

【耐重塩害仕様のエアコンを選定する目安】

塩害地域におけるエアコン室外機の適切な設置場所

耐塩害仕様が施されているものであっても、絶対にサビや腐食が起こらないわけではありません。そのため、塩害地域ではエアコンの室外機を設置する場所にとくに注意する必要があります。

【エアコン室外機の適切な設置場所】

以上のことに注意することで、エアコンの早期故障を防ぐことにつながります。

まとめ

エアコンの寿命は約10年が目安とされていますが、海沿いの地域だと、塩害によって3年ほどで壊れてしまうという事例もあります。潮風や海水が室外機にあたることで、外側や内側に塩分が付着してサビや腐食を起こしてしまうためです。
塩害による影響に伴い、部品などが故障して異常停止する、修理代が高額になる恐れがあります。そのため、海沿いの地域にお住まいの方はエアコン室外機の置き場に注意して、潮風や海水が直接あたらない場所に置くことが大切です。また、エアコンの買い替えや新規で設置する場合は、耐塩害仕様のエアコンを検討するのがおすすめです。

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