浴室乾燥機は洗濯物を効率的に乾かせる便利な設備です。雨天時や花粉の多い季節、梅雨の湿気の多い時期に特に重宝します。また、浴室のカビ防止や寒い日の暖房機能など、多くの利点があります。この記事では、浴室乾燥機のメリット、効果的な使用方法、注意点について解説します。
浴室乾燥機はあると便利なの?
浴室乾燥機は浴室内の換気・乾燥を行う設備で、正式名称は「浴室換気乾燥機」です。浴室の換気・乾燥機能に加え、室内での洗濯物干しも可能なため、ベランダに干せない場合や室内干しの臭いが気になる方にとって、とても便利な設備となっています。
浴室乾燥機には「電気式」と「ガス式」の2種類があります。
- 「電気式」
- 電気による加熱で浴室内の湿気を除去します。操作が簡単で使いやすいため、一般家庭で広く普及していますが、乾燥に時間がかかり、電気代も比較的高くなります。
- 「ガス式」
- 主にガス給湯器を利用して湿気を除去します。加熱が素早く効率的なため、乾燥時間が短く、コストパフォーマンスも優れています。ただし、ガス給湯器の設置とガス供給が必要となります。
「浴室乾燥機は便利だと聞くけれど、設置すべきか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。浴室乾燥機は洗濯物の乾燥だけでなく、様々なメリットがある便利な設備です。具体的なメリットについて、次項で詳しく見ていきましょう。
浴室乾燥機のメリット
浴室乾燥機を設置する主なメリットは次のとおりです。
悪天候でも洗濯物を乾燥できる
最大のメリットは、天候に左右されずに洗濯物を干せることです。
突然の大雨や雨予報時、湿度の高い日でも、気にせず洗濯物を干すことができます。雨の日が続いて洗濯物が溜まってしまうという心配もありません。
衣類のシワを軽減できる
浴室乾燥機は、衣類のシワを防ぐ効果があります。
洗濯乾燥機を使用する家庭も多いですが、シワになりやすい衣類は別に干したり、アイロンがけが必要になったりすることがあります。
一方、浴室乾燥機では衣類の形を整えてから乾燥できるため、シワを防ぎやすく、アイロンがけなどの手間も省けます。
デリケートな衣類も適切に乾燥できる
浴室乾燥機は、デリケートな衣類の乾燥にも適しています。
ウールやシルクなどのデリケート素材、Tシャツやデニムなどの色落ちしやすい衣類は、通常は日陰干しが推奨されます。ただし、ニットやデニムなど厚手の衣類は日陰では乾きにくいものです。
浴室乾燥機なら、これらの衣類も素早く安全に乾燥できます。
室内干しと比べて臭いの発生が少ない
浴室乾燥機は、室内干し特有の生乾き臭を防ぎます。
室内干しの場合、特に湿度の高い梅雨時期には乾燥に時間がかかります。洗濯物が長時間湿った状態が続くと、雑菌が繁殖して不快な臭いの原因となってしまいます。
浴室乾燥機は短時間で乾燥できるため、雑菌の繁殖を抑え、臭いの心配もありません。
浴室乾燥機の賢い使い方
浴室乾燥機には、洗濯物の乾燥以外にも様々な活用法があります。
浴室のカビ発生を抑制できる
浴室乾燥機は、カビの発生を効果的に防ぎます。浴室は水分が長時間残りやすく、通常の換気だけでは湿度が高いままとなり、カビが発生しやすい環境になります。特にパッキン周りのカビは掃除が大変なため、予防が重要です。
浴室乾燥機を使用すれば、浴室を素早く乾燥させ、温風で湿気を取り除くことでカビの発生を防げます。これにより、日々のお手入れも楽になります。
花粉症対策に効果的
浴室での衣類乾燥は、花粉の多い季節に特に重宝します。外干しでは花粉やPM2.5、黄砂が付着しやすく、アレルギーをお持ちの方には負担となります。浴室乾燥機を使えば、これらの心配なく衣類を乾燥できます。
浴室の暖房・冷房機能を有効活用できる
多くの浴室乾燥機には、換気・乾燥に加えて暖房・冷房機能が備わっています。浴室の温度を最適に調整できるため、「お湯が温まるまでの寒さ」や「のぼせやすい」といった問題を解決できます。
これらの機能を活用することで、より快適な入浴時間を実現できます。
ヒートショックのリスクを低減できる
ヒートショックは、急激な温度変化による血圧の変動で、心臓や血管に負担をかける現象です。室内と浴室の大きな温度差がヒートショックを引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などの重大な健康被害につながる可能性があります。冬場は特に、浴室や脱衣所を事前に暖めることが大切です。浴室乾燥機の暖房機能を使えば、適温を維持してヒートショックを予防できます。
浴室乾燥機の注意点
浴室乾燥機には多くのメリットがありますが、以下の注意点も考慮する必要があります。
電気代・光熱費がかさむ
浴室乾燥機の使用には電気代やガス代がかかります。
電気式の場合、1時間あたりの電気代は約30円〜50円です。乾燥には2〜4時間かかるため、4時間使用すると1回あたり120円〜200円となります。
これは洗濯乾燥機(縦型約100円、ドラム式約50円)と比べると高額です。
毎日使用すると月額3,600円〜6,000円の電気代がかかるため、効率的な使用を心がける必要があります。
一度に干せる洗濯物の量に制限がある
浴室内のスペースには限りがあるため、大量の洗濯物を一度に乾燥することはできません。特に大家族の場合は、室内干しや外干しとの併用が必要になります。
乾燥機能使用中は入浴できない
乾燥機能の使用中は入浴できないため、特に大家族の場合は使用時間の調整が必要です。入浴を済ませてから洗濯を行うなど、家族で使用時間を調整しましょう。
フィルター掃除が必要
フィルターには定期的な清掃が必要です。月1回程度の清掃が推奨されますが、これを面倒に感じる方もいるかもしれません。
浴室乾燥機を使うのに向いている人とは
以下のような方には、浴室乾燥機の使用が特に適しています。
天候に関係なく洗濯したい人
雨天や梅雨時期でも確実に洗濯できるため、天候を気にせず洗濯したい方に最適です。外干し時の急な雨や、室内干しの生乾き臭などのストレスから解放されます。
仕事や家事で忙しい方も、天候を気にせずいつでも洗濯できるため便利です。
洗濯物のシワや臭いが気になる人
通常の洗濯乾燥機ではシワがつきやすく、室内干しでは臭いが気になることがあります。
浴室乾燥機なら、衣類をしっかり伸ばして干せるためシワを軽減でき、縮みも防げます。また素早く乾燥させることで、イヤな臭いの発生も抑えられます。
洗濯物を室内で乾かしたい人
次のような方には、浴室乾燥機による室内乾燥がおすすめです。
花粉・PM2.5などが洗濯物につくのを避けたい人
アレルギーをお持ちの方は、浴室乾燥機で花粉やPM2.5の付着を防ぐことができます。
物干し竿についた外気の汚れを、掃除するのが面倒な人
ベランダや物干し竿は屋外の汚れが付きやすく、こまめな掃除が必要です。浴室乾燥機なら、この手間を省くことができます。
防犯面やプライバシーが気になる人
洗濯物から生活リズムなどが推測される可能性があり、特に女性は下着の盗難や視線を気にする方が多いです。
このような方には、プライバシーを守れる浴室乾燥機が安心です。
浴室のカビに悩んでいる人
浴室は以下の条件が重なり、カビが発生しやすい環境です。
- 温度が20~30℃前後
- 湿度が約70%以上
- あかや汚れのカビの栄養分がある
こまめな掃除や水気取りが重要ですが、環境によってはカビが発生しやすいものです。カビの発生を防ぎ、お手入れを簡単にしたい方には浴室乾燥機が効果的です。
高層マンションに住んでいる人
高層マンションでは強風で洗濯物が飛ばされる危険があり、ベランダでの物干しが禁止されている場合もあります。そのため多くの物件に浴室乾燥機が標準装備されており、これを活用することで安全に洗濯物を乾燥できます。
腰に問題がある人
濡れた洗濯物は重く、特にベランダまでの運搬や階段の上り下りは腰に負担がかかります。浴室と洗濯機が近い場合、浴室乾燥機の利用で身体への負担を軽減できます。
一人暮らしをしている人
一人暮らしの場合、洗濯物の量が少なく時間調整も自由なため、浴室乾燥機を効率的に使用できます。特に低層階に住む女性の場合、防犯面からも安全な選択肢となります。
浴室乾燥機の電気代を節約するコツ
浴室乾燥機の電気代を抑えるため、以下の7つのコツを紹介します。
浴室内の水分や湿気を除去する
浴室内の水分が多いと乾燥に時間がかかります。浴槽の水は抜くかフタを閉め、壁や床の水分はスクイージーとタオルで拭き取りましょう。湿度を下げることで乾燥効率が上がり、電気代の節約につながります。
洗濯物の配置を工夫する
浴室乾燥機の吹き出し口付近が最も乾燥しやすい場所です。タオルやデニムなどの厚手の物は吹き出し口の近くに干し、洗濯物の間隔を適度に空けて空気の流れを確保しましょう。
定期的にフィルターを清掃する
フィルターが汚れていると乾燥効率が落ち、余分な電気代がかかります。定期的な清掃が重要です。
フィルターは掃除機でホコリを除去し、中性洗剤で洗浄します。すすいで乾燥させれば完了です。
清掃は月1回程度を目安に、メーカーの取扱説明書に従って行ってください。
室内干しと併用する
室内干しで大まかに乾かしてから浴室乾燥機を使用したり、日中の室内干しで乾ききらなかった分を夜間に浴室乾燥機で仕上げたりすることで、使用時間を短縮し電気代を節約できます。
電気料金の安い時間帯を利用する
電力会社によっては夜間などの料金が割引になるプランがあります。電気式の浴室乾燥機は、これらの割引時間帯に使用することで節約できます。
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
扇風機やサーキュレーターを活用して空気を循環させると、乾燥効率が上がります。これらの電気代は1時間1円未満と少なく、浴室乾燥機の使用時間短縮に効果的です。
換気モードと乾燥モードを使い分ける
洗濯物を効率よく乾かすには、浴室内を乾燥させておくことが重要です。まず換気モードで浴室の湿気を取り除き、その後乾燥モードに切り替えることで、電気代を抑えることができます。
浴室乾燥機を後付け・交換する際の費用
浴室乾燥機の後付けや交換には、10万円〜30万円程度の費用がかかります。本体の種類やグレード、取り付け方法、工事業者により費用は変動します。
浴室乾燥機の後付け・交換する費用の内訳
- 本体価格
- 工事費
- 電気容量や配線を追加
- 洗濯物を干すためのポールを設置
- 洗濯物の重みに耐えられるように補強
本体価格に加えて工事内容により費用が大きく変わるため、必ず事前に見積もりを取りましょう。
浴室乾燥機を後付け・交換する際の注意点
換気扇付きの浴室であれば、後付けできる可能性が高いです。その他、以下の点に注意が必要です。
埋め込みスペースがあるかを確認する
浴室乾燥機の設置には専用の埋め込みスペースが必要です。換気扇より大きな40cm四方のスペースが必要となるため、事前の確認が不可欠です。コンパクトサイズのユニットバスタイプの場合、設置が困難な可能性があります。
また、設置スペースと照明が近接している場合、暖房モードの使用時に照明へ悪影響を及ぼす可能性があるため、設置できないことがあります。そのため、埋め込みスペースの確保と照明との位置関係を慎重に確認する必要があります。
電源、ガス熱源機が設置できるか
浴室乾燥機の運転には、電源またはガス熱源機が必要となります。電源が設置済みの場合でも、十分な容量があるか、また追加の配線工事が可能かによって、設置の実現性や工事費用が異なります。ガス式を選択する場合は、別途熱源機やガス給湯器の設置も必要になります。
まとめ
浴室乾燥機は、天候や外気を気にせず洗濯物を乾かせる便利な設備です。衣類のシワや臭いを防ぎながら、デリケートな素材も安全に乾燥できます。さらに、浴室のカビ防止や暖房機能によるヒートショック予防など、多岐にわたる効果が得られます。
ただし、屋外干しや洗濯乾燥機と比べると電気代が高くなる点には注意が必要です。本記事で紹介した節約のコツを活用して、効率的に使いこなしましょう。
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